ファラデーの単極誘導
=== ファラデーの単極誘導とは ===
マイケル・ファラデーが1821年に単極誘導モーターを考案し、1832年に単極誘導発電機を製作したことで、
発見した現象をいう。
一般的に解説されているファラデーの単極誘導の現象とは次のようなものである。
端面を磁極とする円柱状磁石(図の例では上面をN極とする)に対して、同軸上の導体円板を配して軸回りに、
上から見て時計方向に回転させると、中心軸と円板の外縁部に誘導起電力(中心軸がマイナス、外縁部にプラス電圧)が生じる。
整理すると下の表1に示す1,2,3項目であり
過去多くの謎とされてきたのが、
3.磁石と円板を一緒に回転すると誘導電流が流れる。
である。
表1
1.磁石を固定して円板を回転すると誘導電流が流れる。 | |||
2.円板を固定して磁石を回転すると誘導電流は流れない。 | |||
3.磁石と円板を一緒に回転すると誘導電流が流れる。 | |||
上記3項目が一般的な説明であるが、電動機としての利用を考慮すると次の項目を付け加えたが理解しやすい。 4.磁石を固定して円板に電流を流すと円板が回転する。 |
ここで3.磁石と円板を一緒に回転すると誘導電流が流れる。はファラデーのパラドックスと呼ばれ、ファラデー自身は
「磁石が回転しても磁束の分布は静止しているから」と説明している。
但しそれを実証する完全に正確な画像は無かった。(原文a completely accurate picture, but maybe not intuitive in the lines-of-flux mode)
しかし次に示す2つの実験的事実を示す動画は間接的にファラデーの説明が正しいことを示している。
画像をクリックして下さい。 こちらは円盤磁石で軸対称表裏方向に磁化されているから微動だにしない |
画像をクリックして下さい。 こちらは引きずられて回転する。導体中の磁束が変化するから |
ここでは円板磁石(磁化は表裏方向)を回転させても磁束は移動しないから、真鍮円筒剤中に渦電流が流れず、所謂アラゴの円板と同じ現象が起こ
らない。
一方四角棒状の磁石の場合は円板と異なり非対称であるから、磁束の変化が発生し、アラゴの円板と同じ現象が現れる。
この場合ファラデーの「磁石が回転しても磁束の分布は静止しているから」を次の様に厳密に言い換えなければならない。
「観測者が存在する座標系に中心軸が固定され、軸方向に磁化された円筒磁石がその軸の位置を変えること なく回転してもそれが発生する磁束(磁界)はともに回転するのではなく観測者が存在する座標系に固定されている。 従って観測者から見れば相対的に磁束は回転する円板に対して固定されており、1.磁石を固定して円板を回転する と誘導電流が流れる。 と同じで誘導電流が流れる(起電力が発生する)」 |
内容的には磁石は上記の条件の元では静止していても回転していても、空間に磁気的歪みを発生させるだけの存在に過ぎないと言うことである。
参考までに図1での起電力Eは 册=Bωr决 をr=0から円板の半径rまで積分して求められ。E=Bωr^2/2 となる。